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医療過誤は、医療事故のうち医療機関側に
法的な責任(損害賠償責任等)のある場合を言うと考えられます。 |
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医療機関に損害賠償責任が生じるのは
どんな場合ですか。 |
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医療行為の結果何らかの被害が生じたらどんな場合でも医療機関が損害賠償責任を負うということにはなりません。
典型的には、医療機関に注意義務違反(過失、落ち度)があり、かつ、その過失と発生した被害(損害)との間に因果関係がある場合です。
医療機関に過失が認められるものの、因果関係が否定される場合に責任が認められる場合があります。たとえば、過失のない医療行為が行われていれば患者が現実に死亡した時点で生存していた相当程度の可能性が証明されれば損害賠償責任が認められるとされています(最判平成12年9月22日)。
また、同様に、患者に重大な後遺障害が残らなかった相当程度の可能性が証明されれば、損害賠償責任が認められるとされています(最判平成15年11月11日)。
医療機関に過失がない場合には、医療機関は損害賠償責任を負いません。
医療機関の過失の有無を問わない補償制度として、分娩に関連して重度の脳性麻痺の赤ちゃんが出生した場合の産科医療補償制度があります。
このほかにも、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用によって一定レベル以上の健康被害が生じた場合に、医療機関に過失がなくても補償を行う医薬品副作用被害救済制度などもあります。 |
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医療機関に損害賠償責任があるかどうかは
法律相談の段階でわかりますか。 |
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残念ながら、法律相談の段階ではわからないことが多いです。
問題となる医療が行われた当時のカルテ等の医療記録を入手し、それを読み込んで分析してどのような診療経過だったのかを調べたうえ、医学文献や判例を調査したり、第三者の医師(協力医と言います。)の意見を聞くなどして初めて、過失や因果関係についての一定の判断が可能となることが多いと思われます。
カルテ等の入手方法は、医療機関に任意で開示を求めるか、裁判所を通した証拠保全手続によることになると思われます。
それぞれの方法には長所、短所があります。
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医療関係者は、「危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務」が求められます(最判昭36年2月16日)。
もっとも、その注意義務は、学問としての医学水準ではなく、診療当時の臨床医学の実践における医療水準を基準として判断されます(最判昭和57年3月30日)。
そして、この医療水準は、全国一律のものではなく、医学的知見の普及の程度、当該医療機関の性格、当該医師の専門分野、所在地域の医療環境の特性等の諸般の事情を考慮して決定されます(最判平成7年6月9日)。
上記医療水準に見合った医療行為がなされたか否かによって、過失の有無が決定されます。 |
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医療機関の過失と損害との間の因果関係
が認められるのはどのような場合ですか。 |
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因果関係の立証の程度は、一点の疑義も許されない自然科学的証明まで必要とはされていませんが、高度の蓋然性が必要とされており、高いレベルのものが必要とされています(最判昭和50年10月24日、最判平成11年2月25日)。
もっとも、因果関係が認められない場合でも医療機関の責任が認められることがあります。 |
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くるみ法律事務所 弁護士 森川太一郎(兵庫県弁護士会所属)
〒659-0068 兵庫県芦屋市業平町5-20トミー・ラ・グラース芦屋501 Tel/0797-35-2852 Fax/0797-35-2853 |
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